2014年10月30日木曜日

彼は いつも みそラーメンに酢を入れる


友よ なぜあの時 君が ピンク色の”海人”Tシャツを買ったのか 

ボクにはわからなかったけど ボクはなにも言わなかった

あれから一度も 君が あのTシャツを着ているのを見ていない

それもふくめて 思い出なんだと思う


友よ なぜ あの時 君が 本当に覚えたてのタバコを

むしろ 覚えようとしてたばかりの タバコを没収され

謹慎処分になったのか ボクにはわからないけど 先生には逆らえなかった

あれから一度も 君が タバコを吸っているの 見たことがない



友よ なぜ あの時 君が 「ナンパ行こうぜ」と言い出したのか

ボクにはわからないけど ボクはなんとなく そんな君にのってしまった

結局 誰にも声をかけられなかったけど ボクは君をせめたりしなかった

帰りに立ち寄った ラーメン屋さんは おいしかったけど 
今はもう 無くなってしまったみたいだ


友よ あのときなぜ君だけを 悪者にして 君だけ先生に怒れてしまったこと

ボクはずっと 謝れないでいたけど 君は 変わらずに付き合ってくれた


そんな君に まだお礼もいえていないけど  これからも言うつもりもない

2014年10月26日日曜日

夏の思い出は


知らぬ間に 何かに追われているようなつもりなって

車で移動中に コンビニのパンを あわてて詰め込んだ

食事というよりも その時の空腹を ただただ誤摩化していた


そんな日々


食べるパンは いつも決まっていて 
同じゴミが 同じ白い袋に入れられて 車に溜まっていった


捨てることすらも 何かに追われていることのせいにして ほったらかしだった


白い袋とともに 憂鬱も ただただ溜まっていった


少しでも自分を慰めようと

コンビニで 少し値段の高い カツサンドを買ってみた

いつものように 車に飛び乗り 運転しながら
暗い車内で 手探りしながら 食べようとすると

パンとパンの間から カツだけ 助手席のシートとサイドブレーキの隙間に落ちていった



僕は一人で 大きな声を出した 自分でも驚くほどの大きな声だった

自分の大きな声を 久しぶりに聞いて あのときの記憶が蘇った





たくさんの 人と車 車と人が すれ違うことが突然怖くなって 

交差点の途中で立ち止まってしまったことがあった


「助けて」と 小さくつぶやいたけれど


世界も その場も 空気も 何も 変わる様子は なかった



あのときの 教室でもそうだった



僕の「助けて」は 

たくさんのトモダチの笑い声に かき消されてしまった



文化祭のときも 自主的に休んだ

そのほうが みんなが楽しいことは 僕にはちゃんとわかっていた

僕が みんなの悪者でないことも ちゃんとわかっていたつもりだった

でも心のどこかで 勝手に自分のことをせめていた



彼女は いつも みんなの少し後ろで笑っているような子だった


「その作家さんいいよね」


あのとき 彼女はボクに話しかけてくれた 3年間で一度だけだった

だから もう1冊持っていた その作家の本を貸した

僕は ただ 嬉しかった 


だから その本が返ってこなくても それでいいと思っていた


日に日に 彼女は 僕に話しかけることも 
近づきずらくなっていること 気がついていた わかっていた



卒業してから 一度だけ 彼女を見かけたことがあった


僕は思わず 「あ」と 声を出した


なにも 僕に気づかず 僕の横を 通り過ぎていく彼女は

化粧をしていて たくさんの友達と 楽しそうに歩いていた



小さな街の 違う世界の中を 僕も生きていて


小さな街の 違う世界の中を 君は生きていた



「ボクが死んだことになっている世界で」






2014年8月 長野県松本市GNUでの
『シネ部 自主制作動画祭り』で ボクが発表した 


「僕が死んだことになっている世界で」という作品の予告


本編DVDは 親愛なる友人たちに託しております

素人の作った たいへん お粗末なモノですが
少しでも少しでも多くの方 興味を持って下さった方に
観てもらえたら 嬉しいです



2014年10月21日火曜日

小魚を食べると クジラになれる気がしていた

こんばんちゅるうす かっくんです


「しんぞうがんばれ!しんぞうがんばれ!」そう叫びながら


右手でグーと作って 左胸をバンバン叩いてから プールに入る

それが ボクの育った 小さな村の 小さな保育園のルールだった

そして なにも恐れずに プールに飛び込んだ  先生に怒られることも 怖くなかった



そんな 魔法を 大人になってから 女の子に 告白するときに 使ってみた


どんなに叩いても どんなに叩いても 「好きだ」の3文字が口から出てこず


口から飛び出したのは 二人で食べた 唐揚げと カルピスサワーだった




食べたときは なんの味もしなかったのに

吐き出したときの 味は 強烈に感じた  

それは涙が 出るほどだった


なんで泣いているか わからなくなって もっと涙が出て来た



大人になると 魔法が使えなくなるんだ




子供の頃 寒い日の朝 外で裸になり タオルでゴシゴシ 体をこすると健康になる


「寒風摩擦」という 魔法の儀式があった


大人になってから その儀式すると やってきたのは 悲鳴と警察だった


大人になると 魔法が使えなくなるんだ




子供の頃 傘を持てば 空を飛べるような 気がしていた

カッパを着れば 透明人間にでもなった 気がしていた

赤い靴を履けば 早く走れるような 気がしていた

マンホールに入れば 宇宙にいけるような 気がしていた

自動車税なんて 誰かに払ってもらうもののような 気がしていた

小魚をたくさん 食べれば クジラになれるような 気がしていた

口笛を吹けば 町中でオーケストラをしているような きがしていた



大人になると 魔法が使えなくなるんだ


いや 本気で使おうとしていない だけなんだ きっと

2014年10月14日火曜日

ピーマンの苦みを 受け入れるようになったこと


新しい言葉 新しい発想 新しい視点

概念 表現 アイデア を与えてくれる本が好きで

そんな 出会いを求めて 本屋を彷徨う


心と頭に なにかが不足してくると 本屋を彷徨う



初めて 岡本太郎先生の「自分の中に毒を持て」を読んだ日のことを 今でも覚えている

21歳 大学生ごっこの 就職活動ごっこ中だったけど それを読んで 就職活動ごっこのほうをやめた



「ポケットから 白いボールを出し 空高く投げた 青空だ」
この文章 その前後も含めて その表現が 好きで

20歳の頃 何度も 図書館へ行き  三島由紀夫先生の 短編集を読んだ




ほとんど寝ずに 働いていたころ たまたま手に取った

中島らも先生の 「心が雨漏りする日には」を 読んで 救われた


それから 何年後か 仕事でクタバリそうになったとき 

その本を思い出して また 救われた



小学校も 中学校も 高校も 国語の評価は 2

国語に 限らず 評価は どれも 2


『足し算のできない子』 それが 職員室での 呼び名だった


地球という絶対的なゼロの中で 一体なにが増えるのか その概念が理解できず


それを教えてくれる先生は一人もいなかった


「君の言っていることは いつもわからない」 そう言われるだけで

「目の前で起きた一時的な現象を 数字化したもの」と説明してくれる先生はいなかったけど


本はいつでも ボクを救ってくれた



また 新しい言葉 新しい発想 新しい視点

概念 表現 アイデア を求めて 本を開く



青年よ 書を捨て 本屋へ行こう




なんか 真面目腐った 内容になってしまった

そんなつもりじゃ なかったのに

2014年10月6日月曜日

クリームシチューのような 男になりたい

パーソナルコンピュータをしながら ウトウトしていたら

無作為に再生さてたのは Dr. Feelgoodの『Boom boom』 




John Lee Hooker だ 

ブルースだ

ボクは 自然と足を踏みならした


それから 立ち上がり 全身で リズムを取りながら 


ベッドに行き 


寝た



翌朝 とある 街角

ボッケの奥の奥まで 手をつっこんで

何かを唄いながら 歩いている ランドセルを背負った 小学生を見た


なにを唄っていたかは わからないけど


その表情は 楽しそうというよりも 精一杯のしかめっ面だった


ブルースだ


男は いつでも ブルースを背負い ブルースと共に生き

そして いつでも ブルースを口ずさんでいる





松川村の 小粋でカジュアルなフレンチ

メゾンドソラマメの 主催する
[カメムシロックフェスティバル]へ遊びに行ったとき


メゾンドソラマメの タケシがドラム

ボクが ギターを弾き 

ボクらのバンド[speed sprayer]のセッションを始めた


そこには 指揮者も 楽譜もなく 
ボクらは 互いの思いだけで  自由に 演奏した


すると 自然と 人が集まってきた


ゴトウは ボクから ギターを取り上げ 弾き始めた

そこにあった 楽器が 誰かや 誰かによって 鳴りだした


だから ボクは マイクを持って唄った

そのとき 思いついたメロディと 詩で 唄った




すると ボクのうしろに 栗本凛ちゃん(33歳男性)



が やってきて なにかを欲する顔を ずっとしていた

ボクは 栗本凛ちゃんに マイクを渡した


すると 彼は 唄いだした


「耳の裏が 耳の裏が 臭い 耳の裏が 耳の裏が 臭い」


クリリンは 30歳をすぎて 
己の体に起きた 変化を 大きな声で唄っていた




ブルースだ



「耳の裏が 耳の裏が 臭い 耳の裏が 耳の裏が 臭い」

ひたすら 繰り返される この唄を 

聞いたあの日から 2週間


ボクの耳から 脳裏から この唄が 離れることはなかった



男は いつでも ブルースを背負い ブルースと共に生き

そして いつでも ブルースを口ずさんでいる