2015年9月6日日曜日

タマネギを 縦から切るか 横から切るか

「フェースブックで 友達にバレずに出会える」というアプリで

彼氏が出来たと 自ら自分の友達にバラしている 友人会った


出会いのきっかけや そのツール(コンテンツ)が どうであれ

彼女は以前より 楽しそうな顔つきなったので 
いいんじゃないかと思っている


昔は 結婚する相手もなにも知らないまま 嫁に行ったもんだ
と 昔の人が 言っていた


経済と社会の成長と文化の発展が ボクらに自由な恋愛を与え

そして その出会うための手段も またビジネス化とデジタル化した


この国では 誰もが誰に 恋をすることを許されている




ボクはずっと ボクの口笛が 君に届いていないと思っていた

あのクラスで ボクが『小太りの透明人間』と呼ばれていたあの頃 
ボクがそこにいるのに いないことになっている教室で ボクはいつも口笛を吹いてた


「ピーピュー ピーピュー ピーピー 
 ピュウピュウピュっピュー ぅおーう 君に夢中」

ボクはいつでも 彼女を思った唄や 聴いてもらいたい唄を 口笛吹いていた

その聴こえない口笛を吹くことが

彼女に想いを伝える 唯一の手段だった



彼女の日常に BGMを加えるのが ボクの役目だった


それはいつでも どんな表情 どんな仕草でも 

映画のワンシーンのようだった



そう 思い込んでいた


あるとき 彼女が泣いていた  

ボクが誰にも気づかれず 気づいてもらえずに
遅刻して入った 教室で

たくさんの女子に囲まれて 彼女は泣いていた


なぜ泣いているか ボクにはわからなかったが

ボクは ボクのノドのずっと奥のほうを

ギューっと 締め付けられるような 感覚がした

それは 初めての感覚だった  

ボクは居ても立っても居られなくなった


ボクは 彼女がまだ知らない唄を たくさん知っていた
ボクは 彼女を励ますための唄を たくさん知っていた

だから ボクは 彼女を励ます唄を 

その聴こえない口笛を 精一杯吹いた


「ぴゅーぴゅぴぴー」

女子たちが 一斉に ボクを睨みつけた


ボクは 口笛を吹くのをやめた

ボクは 家に帰ることにした

ボクは 彼女を好きでいることを 
やめることにした


少なくとも ボクの口笛が彼女に届いていたことが 嬉しかった

でも ボクのしていたことが彼女にとっていいことだったかは

今でも わからないでいる


ボクは 恋する惑星に生まれたはずなのに