2017年9月20日水曜日

納豆を買い忘れた日に

朝が来る 目が覚めて ベッドから起き上がる

扉を開け 灯りもつけずに 便座に 腹を抱え込むように座り

思わず 「ああ 死にたい」と 声を出す

曇るように小さく反響したその声は そこに何の救いもないことを

思い知らせるかのように ただ自分にだけ 跳ね返ってきた


「今日 仕事を休みます」 なんて電話をしたところで
返って来るのは ただの罵倒と 大きな憂鬱

その大きな代償よりも

耳と目を塞いで過ごす一日を選ぶ ボクは 

どちらにしても臆病者だった
 

遅刻することを 大きな憂鬱の原因になるので
覚悟を決め 着替えて 外へ出ると

ジャージを着たおじさんが 嬉しそうに自転車に乗っていた

それを見て 幸せとは何だろうと 考えながら歩き出す

いつもと違う気持ちなったような

不思議な感覚を持って 駅へ向かったが

急ぎ足の人たちが 駅にどんどんと吸い込まれてゆく
いつもの光景に また心がいつもの色に染め上げられた

ホームで 並びたくもない列に並ぶ 

入る余地もない その電車に乗った瞬間からボクの

目と耳を塞いだ一日が 始まる

目と耳を塞げども 聞こえて来る 誰かを責め立てる声

心落ち着き 仕事ができるのは あの人が帰った 20時以降

終電まで仕事をする

今宵も疲れ切った顔で 駅前の牛丼屋に入る

空腹以外の何かを満たそうと 必死で喰らいつく

顔見知りの後輩が 上機嫌にギャルを二人連れて 牛丼屋に入って来る

「チッス」っと 挨拶される

「チッス、じゃねぇよ」と 喉まで出かけるが 
詰め込んだ牛丼まで出そうだったので 小さく頭を下げる

家路に着く

真暗の部屋に入り 邪念の洗い流すかのように シャワーを浴びる

ベッドに入り 眠れずに 喉からこみ上げる何かを堪える

携帯を開き ”自殺”というワードを 検索する

また別の不安が 別の不安が込み上げて来る


目が覚めて 一瞬戸惑うも 大きな安心感を抱く

「夢でよかった」 そう呟いてから

キッチンで コップ1杯の 水を飲み

寝間着のまま 自転車に乗って ボクは出かけた


夢でよかった