縁側に正座をして タバコに火をつける
見上げれば 何かロマンチックな歌でも歌いたくなる様な
満天の星空と白い煙と白い息
些細なモヤモヤの 救いを求めてつもりで
買ったタバコは ラッキーストライクで
その幸運そうな名前に惹かれたというより
パッケージが変わってという理由で それを選んだ
タバコを吸わなくなったこの10年で
タバコの立ち位置も 喫煙者の立ち位置もすっかり変わってしまった
「今では高校生もアイコスだよ」と とある高校教師が言っていた
あの頃は皆 ジェームスディーンに憧れて吸ったタバコも
今にとってのそれが 見当たらない
というより それを知らないだけかもしれない
コンビニで 小銭と健康を引き換えに
20本入りのそれを 手に入れたところで 何を得たのだろう
ただ それを吸う その時間を得ただけなんだ
救いなんかはそこにはなく ただその時間を
無意味なその時間が 有意義なことだと思って
また タバコに火をつけた
とうの昔に捨ててしまった灰皿の 行方は知らず
飲み終わったらペットボトルに ただただ吸殻だけが溜まっていく
タバコごっこも またしばらくやめておこう