2015年7月14日火曜日

ゴハンがないから ナンを焼けばいい それが答えだ



先月 なんとなく行った 銭湯で買った 牛乳石けんを

その銭湯一回きりで捨てるのも 勿体ないなと思って

家に持ち帰った その次の日から 
その石けんが無くなるまで キレイに使い切ろうと心に決めた



割れることもなく 小さくなっても排水溝に流れていくこともなく

昨日 その石けんを 使い切ることが出来たんだ



なにか 目標を立てて こんなにシンプルで わかり易い目標を
一人で達成できたのは 31年生きてきて 初めてだったかもしれない



何気ないことでも 普段気にかけていないことでも

意識することによって それが課題になったり いってみれてゲイムだったり


なんでもない日常を なんでもなくすることは いい意味で容易で
そこから 多くの学びが得られるのかな


なんて 薄っぺらで 香りもなくなって 牛乳石けんをゴシゴシタオルで
泡立てながら  そう思った



石けんという その姿を失くし 泡となったそれは

いつまで経って どんなに擦ってもキレイにならない汚れたボクの 

その上澄みだけ連れ去って 排水溝へ 流れて行った


そのささやかだったかもしれない 目標達成の瞬間

ボクは 少し笑った  お風呂の真ん中で もちろん全裸で


笑いながら 見下ろすと だらしなく熟れたマンゴウのような

ワガママボディが そこになった


ボクはなによりも 目標にしなければいけないことから 目をそらしていた


石けんを使いきることなんて ただの現実逃避にすぎなかった


痩せなければ



死にたくて死にたくて仕方がないのに 忙しくて死ねず
次の休みには 死んでしまおうと思っていた

そんなふうに 思うこともあったけれど



死ねない理由が また一つ出来た

長生きしなければ  痩せなければ

あの石けんのように キレイに無くならなければ

2015年6月22日月曜日

マッチ売りの少女の3連休


[イージーライダー]をヴィデオで 観たばかりだった
その頃のボクらは またバイクどころが 免許も取れない歳だった


日曜の朝からノブオくんがやってきて

「ヨッチャンちに ハーレーがあるらしいから 見に行こうぜ!」

というので 見にいくことにした 

ボクらは 明らかにいつもと違う気持ちで ママチャリに股がった


ヨッチャンは いつも以上に得意気に 出迎えてくれた
ヨッチャンは そういう男だった

得意気に案内された ガレージに停まっていたのは

青い回転灯と 鷲をモチーフにしたステッカー
プラッチックで 大げさに装飾された バイクで
タンクには ホンダのマークが付いていた

ヨッチャンは いつも期待を裏切ってくれる男だった


ボクらは 大笑いしながら ヨッチャンを精一杯 馬鹿にした


そして ボクらは そのまま ママチャリに乗って 

隣町まで行ってみよう ってことになったから

一回帰宅して 持っている限りのジャリ銭を ポッケに
そして 一枚だけ持っていた 千円札は 
グリッブの破れてハンドルバーの空洞に詰め込んだ

まるで オイルタンクにお札を忍ばせたつもりだった


そしてボクは ママチャリのシートではなく 
荷台に腰を下ろして ペダルを漕ぎ出した

サドルは タンクのつもり

それは まるで アメリカンバイク 
チョッパースタイルのソレに乗っているつもりだった

ノブオくんも それをマネして そう乗り出した


ヨッチャンは マウンテンバイクだったので
それができなくて もどかしそうにしていた

ボクらは その様を見てまた 精一杯小馬鹿にした


隣町への道のりは 遥かに遠かったが
おかあさんの車で 何度も隣町の病院へ行っていたので
近道とかも だいたいわかっていたの 迷わない自信があった

それでも 大冒険のつもりだった


めざすは 隣町のイトーヨーカドー   

ヨーカドーのゲーセンで 持っている限りのジャリ銭を使い込んで

シャベルですくい挙げてたものを 狙って落とし またそれがググっと押し出されて
お菓子が ポトって落ちてくる あのゲームで 取れる限りの アポロを穫ってやるんだ


途中のセブンイレブンで アクエリアスの700ミリリットルの
飲み口が スポーツ選手が使っていそうな クイと引き上げると
チューチュー吸えるタイプの ヤツを買った


おかあさんがいっしょじゃないのに 自分のお小遣いで
自分の欲しい物を買っている そんな自分に少し酔っていた


アクエリアスをチューチューしながら 
たどり着いたヨーカドーのゲーセン そこに自由があった

が バッタリそこで会ったマサオくんは 普通にお母さんといっしょに来ていた

大冒険をして来た感覚が ちょっぴり冷めた


アポロもあんまり 穫れなかった

「下で買った方がよかったんじゃない?」と 

ヨッチャンが言い出したので また気持ちが冷めた


ヨッチャンは そういう男だった


とりあえず 2、3個撮れた アポロをカゴに入れ

ボクらは おうちまで帰ることにした


ママチャリを漕ぎだしら また少しずつ気持ちが高揚して来た


自然と ボクらは 競争になってきた


後ろで ヨッチャンは 急な坂道を登る用のギアのままで走っていたので
いっぱいいっぱい漕いでも 遅かった


ボクと ノブオくんが 笑いながら競争をした

後ろにぴったりついて走っていたノブオくんが

夢中になりすぎて 訳もわからずボクが 急ハンドルを切った
その瞬間 訳もわからず ノブオくんが吹っ飛んだ

転んだノブオくんの手と膝から 結構血が出ていた

「イテェよ イテェよ」と 涙をこらえるように 傷口をフーフーしていた


なぜが ヨッチャンが 泣き出した
それを感じ取って ノブオくんの目から 涙があふれてきた

ボクも なぜか つられて泣きそうになったけど

ノブオくんの肩を 叩きながら そのリズムに乗って唄いだした

「ブォーン トゥビー ワーアアア!」
「ブォーン トゥビー ワーアアア!」


ノブオくんは 泣きながら笑い出して

そして 一緒に唄った

「ブォーン トゥビー ワーアアア!」

この旅で 一番大事なことを思い出した
ボクら 三人は 大笑いをした


それから なぜかノブオくんを 遊ばなくなり

もう 15年は会っていたい

決して 仲が悪くなっただけでもないが

久々に会ったら うまく話せないような 気がする





2015年6月11日木曜日

タマネギのすりおろしって たいへんだ



自己啓発的なモノではなく 

ただその人の思ったことが 言葉が

回りくどくもなく くちどけのよい こしあんのような言葉で書かれた

そんな本が好きだ


その本その文章その言葉から なにか新しい概念を与えられると 

より大きな満足感を得る 利口になったつもりになる


そんな本に いつでもどこでも 出会えるわけではない
読まないことには 始まらない


いろんな 思想や概念や言葉 そんなモノが集まった 図書館や本屋って
また恐ろしい空間である 空間というより 宇宙である


いや その宇宙って一体なんなんだ 

それもきっと どれかの本に書いてある


人はなぜ 文書は言葉を紙に詰め込んで 残そうとしたのか 残してきたのか


それもきっと どれかの本に書いてある




最近 時間に余裕がないのか  心に余裕がないのか

ぜんぜん 本を読んでいない

それは 本を読んでいないから 時間にも心にも余裕が作れていないとも言える


昔から 頭を悪く 心も弱く 顔の細工も悪く

それをなんとかしようと 少しでも補おうと 

本を少しでも読むようにしていた


しかし顔の細工の悪さだけは 少しも補えなかった

いや 頭も心を弱いままだった


新しい言葉や 概念を欲している



ようするに 最近本を読んでいないから 
なにか本を読もうということを

回りくどく 話してみました

2015年5月19日火曜日

カニをポン酢の海で 泳がせて



最近 朝か晩 庭先へ出て 縄跳びをしている

近所の人たちが いつも以上にこやかに アイサツしてくれるようになった

小太りが縄を振り回し つっかかりながら ぽにょぽにょ跳ねているその
滑稽な様を 笑いたいという感情を 抑え切れないでいるようだ


1分飛んで 1分休みながらストレッチ を3セット

1分で約100回と飛ぶ 

するってぇと

飛び始めから その五分で 約300回
この熟れたマンゴウのような ワガママボディを
揺らしているという 計算になる

しかも醜い顔を まただんだんと苦しそうに歪ませながら


それは 嘸かし滑稽だろう

イケメンに憧れることは 今まで全くなかったけど
このときばかりは 少しでも顔の細工が良ければと 少し思った


なにかを変えようとして 始めたこと
一緒懸命やっていることを 笑わないでほしい
思うことが よくありがちな こちら側の主張でしょうが


その様が さぞ滑稽であることは 
己も十二分承知致しておりますので 

それを真摯に受け止め 挫けることなく 縄跳びを続ける事が
ボクがボクであるために やるべきことであると思っています



わずかな時間でも運動をすると スカッとする

ゴハンも 美味しくなる またおかわりをする

ワガママボディが また揺れる 熟れる


このままボクは どうなっていくのか


いつか縄飛びで 空が飛べるようになるまで

ボクは 縄跳びをやめない



2015年5月14日木曜日

パルムの偽物に気をつけろ


なんとなく 車で聞いていた 桂枝雀師匠の落語の そのマクラが

まるで 遺言のように聞こえて なんだか涙が出てきた

今までそれを聞いて ケタケタ笑っていたはずなのに



最近 急に太ったせいか なんだか涙もろくなったのか

それとも歳のせいなのか

変に偏りのできてしまった感情

それと引き換えに 自分の感受性 言葉の咀嚼力が 衰えてしまったようだ


そんな自分を 笑い飛ばず力さえも 失ってしまった


ここのところ  文章を書いても書いても 自分を苦しめるような 
そんな行き場のやり場のない言葉だけが ただただ溜まっていった

かといって 自ら命を絶つには まだ少しだけ やり残したことがあるようだ



友人に誘われて行った スチャダラパーの25周年ライブ

ワンマンライブならでは お約束ムードで始まり

ボクも そのつもりで ワンマンライブならではお約束ムードを楽しもうとしていた

しかし そのお約束ムードをいい意味でぶち壊す イントロが流れてきた

「B-BOYブンガク」だった

アレは95年に出たアルバムの イントロ明けの2曲目
少年期のボクが スチャダラパーにどっぷりハマるきっかけになった曲だった

少し大人になって スチャダラパーのライブの行けるようになってから
それなりにいろんなライブに行ったつもりだけど
その曲は 一度も 唄われることはなかった

大好きな曲だけど 「ライブでは絶対に演らない曲」と 勝手に決めつけていた


そんな「B-BOYブンガク」の イントロが聴こえた瞬間
全身に鳥肌が立ち 自然と涙がこぼれた

自分の中に潜んでいた『スチャダラ好き少年』が一気に目覚めたようだった

25周年ライブは 本当に最高だった 

その先の記憶がないがただただ ライブが最高だった感覚だけよく覚えている



たまたま立ち寄った CDショップで 置いてあったフリーマガジンの表紙

そこに写っていた 満面の笑みの 高田渡さんを見て なんだか涙が出てきた

それは 今まで映像や 写真で見た事がないくらいの 見事な笑顔だった


そんな とびきりの笑顔を高田渡さんを見て 知り合いでも何でもない
ただの壱リスナーのくせに なんでか CD屋さんの前で 涙した


ハタから見ていたら 小太りの不細工の 31歳が CD屋さんの前で
急に泣き出すなんて さぞ 気味が悪かっただろう


なにより 知り合いに見られてなくてよかった


どのミチ 気持ち悪いから 泣くのはもうやめよう



2015年4月23日木曜日

ケチャップの代わりになるものなんてないんだよ

qある日の帰り道 車を運転中

あの川に沿った あの道

無理矢理 路肩に停車させた軽トラックから

ヤンキー風の男性が 一人で降りてきて スマホで自撮していた

その道沿いに咲いていた 桜をバックに スマホで自撮していた


桜の花は 美しい
人のを立ち止まらせ 目も心も奪さるほどに 美しい



そのとき ボクはなんとなく 思い出した歌を 口ずさんだ

「花びらのように散りゆく中で 夢みたいに 君に出会えた奇跡」


なんとなくの場面で なんとなく口ずさんだり 思い出したりする歌を
「あ そういう意味だったんだ」とか 今までしてこなかったような解釈や
発見をして また 好きになったりするもんだ が


しかし その日 思い出した その歌は 
初めて聴いたときに感じた 違和を ただ蘇らせるだけだった

「花びらのように散りゆく中で? セイ イエー?」

当時のCMか何かで聴いて 脳裏にこびりついた歌詞だけ歌っても
その曲の全部を聴いていなければ 

いくら考えても その曲を理解できるはずもない

 自分の欠落した 感受性や読解力 に嫌悪感を抱きながらも


それでボクは 「ま、いいか」と つぶやいて


助手席に投げてあった iPodで 春らしい曲を探した

4000曲は入っているはずなのに
1曲も 春らしい曲は入っていなかった 


ボクの音楽の偏りと 乏しさにまた 嫌悪感を抱いた




思い出してみれば iPodを買ったのは 
今から十数年前

マイファースト iPodは 
真白のボディに ボタンがオレンジに光り 液晶は白黒のモノだった

その当時 その数年前まで 白いイヤフォンといえば
入院したときに テレビを観るためのヤツ という認識だった が

アップルコンピュータの新提案により 白いイヤフォンは

めっちゃかっこいいアイテムへと 一気に格上げした


見た目に限らず そのiPodという ガゼットは 
大きなデータが保存でき 外に持ち出せ 持ち歩け
しかも 音楽が聴けるという 革命的なガゼットだった



その当時の出来事

東武東上線 池袋駅 メトロポリタン口改札

あいつは ピカピカの白いイヤフォンをして 
右手には その夢のガゼットを持ち
体を小刻みにゆすりながら 現れた

まるで あの時の そのCMのようだった


「iPod買ったんだ!」ボクは あいつに話かけた

「おぉ。」 さっきまでノリノリだったあいつは 返事を濁した

まさかと思い 彼のiPodをのぞくと 曲は1曲も入っていなかった


彼は iPod以前に パソコンを持っていなかった


ボクらは それから黙って 電車に乗って 黙ったまま大学へ向かった

友達になったばかりの ボクらには 拷問のような時間だった


結局 ボクは それがキッカケで なんだか気まずくなり

その彼と 友達でいることを やめてしまった




いつの間にか 黒いボディになっていた iPodを見ながら

そんなことを 思い 思い出していた ある春の日の 記録


アイツの iPodは 未だに空っぽなのか


いや 空っぽなのは ボクのほうだった


2015年4月5日日曜日

ベーコンは焦げてるくらいが ちょうどいいのさ


キャンプが好きな理由は 

「生きる」ことを感じられるから 
とか そんな哲学的っぽいような そんなかっこいい理由じゃなくて


焚き火で さっさと作ったゴハンが美味しいから

焚き火が ポカポカして 気持ちがいいから

自慢の道具やナイフを 活用できるから

静かな森の中で お湯割りでも呑みながら なんでもない会話をする そんな時間がいいから

狭いテントの中で 少しだけ熊に怯えながら ダウンを着て 暖かい寝袋で 眠るのが気持ちいいから


そして あっという間に朝が来て また火を起こし
コーヒーを飲みながら さっさと用意した 朝食が めちゃくちゃうまいから

そう 特にキャンプで作って食べる 朝食が 本当に美味しい

だから キャンプが好きなんである




古い友人と「最近キャンプしてねぇね」なんて 話していた


「どうせなら 死ぬまでに 100回キャンプしようぜ」

「年に4回でも 55歳じゃんね 年3回でも63くれぇか」

なんて 話していた


それぞれが 高いスキルやすごい道具を持っているわけではないが


それぞれが ソロキャンプしにきたくらいの ちょうどいいボリュームの装備で集う

をモットーに 三人で[One hundred camps]というキャンプチームを始めた

チーム と いっておきながら タイミングの合ったところで 
集まれる人だけで まったりやっている 


その強制しない感じが またいい





非日常を 感じるというよりも

リアルが充実してないことを選択し

そこで  ただ食う ただ寝る 

そんなシンプルで  人間っぽさ 動物っぽさを 
取り返す時間が キャンプにはあり

その時間の中で 「生きる」ということを たくさん感じられるから 

ボクは キャンプが 好きなんだ