先月 なんとなく行った 銭湯で買った 牛乳石けんを
その銭湯一回きりで捨てるのも 勿体ないなと思って
家に持ち帰った その次の日から
その石けんが無くなるまで キレイに使い切ろうと心に決めた
割れることもなく 小さくなっても排水溝に流れていくこともなく
昨日 その石けんを 使い切ることが出来たんだ
なにか 目標を立てて こんなにシンプルで わかり易い目標を
一人で達成できたのは 31年生きてきて 初めてだったかもしれない
何気ないことでも 普段気にかけていないことでも
意識することによって それが課題になったり いってみれてゲイムだったり
なんでもない日常を なんでもなくすることは いい意味で容易で
そこから 多くの学びが得られるのかな
なんて 薄っぺらで 香りもなくなって 牛乳石けんをゴシゴシタオルで
泡立てながら そう思った
石けんという その姿を失くし 泡となったそれは
いつまで経って どんなに擦ってもキレイにならない汚れたボクの
その上澄みだけ連れ去って 排水溝へ 流れて行った
そのささやかだったかもしれない 目標達成の瞬間
ボクは 少し笑った お風呂の真ん中で もちろん全裸で
笑いながら 見下ろすと だらしなく熟れたマンゴウのような
ワガママボディが そこになった
ボクはなによりも 目標にしなければいけないことから 目をそらしていた
石けんを使いきることなんて ただの現実逃避にすぎなかった
痩せなければ
死にたくて死にたくて仕方がないのに 忙しくて死ねず
次の休みには 死んでしまおうと思っていた
そんなふうに 思うこともあったけれど
死ねない理由が また一つ出来た
長生きしなければ 痩せなければ
あの石けんのように キレイに無くならなければ
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