朝 軽めの便意を 軽く催し
床で 寝袋で眠る 家主をまたいで ボクは トイレに行った
彼と出会って数年になるが 彼の部屋に泊まったのは初めてだった
洋式便器に座り込んで 「いざ」というときに気がついた
ホルダーにトイレットペーパーがない
むしろ そこにトイレットペーパーがあった形跡すらない
トイレの中を見渡しても
予備のトイレットペーパーどころか 掃除用具もない
扉を開けた時に 「なんだか殺風景だな」と
思ったことを ふと思い出した
腹筋から肛門に 強い思いを込める前でよかった
ボクは なんとなく心のどこかに その便意を抱いたまま
近くの100円ローソンへ行って
トイレットペーパーと 100円で売っていた ガンプラを買った
100円ローソンは トイレを貸さないタイプのコンビニだったので
帰ってから 彼の部屋のトイレで ゆっくり 腹筋から肛門に 思いを込めて
ずっと抱えていた 便意と オサラバした
「早く起きるの 得意なんすよ」
と言っていた 彼は やっぱり 早起きしてくれなかった
だからボクは 彼が起きるまで ガンプラを造った
その前の晩 「泊めてよ」という 急な ボクのお願いに
「いいですよ」と 答えてくれた 彼に 呼び出された場所は
上裸のユダヤ系男性が 踊る カラオケバーで
彼はそこで 藤井隆の 「ナンダカンダ」を歌っていた
彼は物静かな男性だが やるときはやる男だと
うすうす気がついていたけれど それが確信となった
結局 4時頃まで呑んだ
大層呑んだろうに 帰ってから彼は ボクに色々 気を使ってくれた
なんだかんだ いいヤツなんだろうと
思っていたけど それが確信となった
それなりに長くつき合っていても
二人きりになってみないと その人の善さを知らなかったり
気づけなかったりする
なんとなく思っていたけど 彼はいいヤツだった
でも なんでトイレットペーパーがなかったか
聞くことは できなかった
それを聞いたら なんとなくこの日につまった心の距離が
また 遠のいてしまいそうな 気がしたから
ボクと彼は 友達になるまで まだまだ時間がかかるのか
この先 友達になれるのか まだわからないけど
なんとなく 彼がいいヤツだということを知れて よかった
そんな2月の始まりだった
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