こんばんちゅるうす かっくんです
地球を思いきり蹴飛ばしてみたけれど
地球が逆に回り出すなんて そんな気配すらなく
ボクは この星にも 逆らえないことを知り
その定めを 受け入れられずに ボクは泣き出した
なんでも 自分が中心でないと 気がすまなかった
彼女は 泣きたいときに うまく泣けないだけで
決して 強い女性だったわけじゃないことに
気がついたときは ボクらはもう他人同士だった
19歳のとき 東京ドームで初めてプロ野球を観て
「ボクもいつか こんなスター選手になりたい」と思い
リトルリーグから野球を始めようと
門を叩いたのが 21歳のときだった
「お前 プロ野球選手の嫁になるんだから マジ幸せだろ?」
と彼女に 毎日いい続けた
彼女は 一生懸命な笑顔で いつもうなづいてくれた
「練習に参加するのはいいけど 試合にでるのは難しいぞ」
監督はそう言って ボクの練習参加を許してくれた
ボクはその言葉を ボクに対する試練だと 勘違いしていた
ボクは初日から 誰よりも大きな声を出し
ランニングは誰よりも早く走ったつもりだった
が 6年生には 走りで勝つことができなかった
彼女は 保護者に混じって いつも練習を見守っていた
夏合宿という名の 本当に意味でのキャンプでは
ボクはみんなと川遊びをして
彼女は保護者さんたちと一緒に BBQの準備をしていた
ボクはそうして当たり前だと 思っていて
そんなことが彼女を苦しめていたなんて 思ってもいなかった
ボクはむしろ 誇らしげに川遊びをしていた
秋が来て 6年生が引退し始めた頃
ボクは「ボクの時代がやってきた」と思った
それからまた 声だしを一生懸命した
が 新メンバー発表の日
ボクは 背番号のついたユニフォームを もらうことができなかった
そんな日の帰り道 ボクは悔しさで 地球を蹴り飛ばして 泣いた
すると ななめ後ろのほうから 疲れきった声が 聞こえた
「なれるわけないじゃん」
ボクは カッとなって振り返り 初めて彼女を グーで殴ってしまった
絶対泣かない と思っていた彼女が 大声で泣き出した
ボクは あわてた ひどくあわてた
なにをしていいのか わからなくなり
大声で泣く 彼女の頭を なでた
なでるたびに 彼女の泣き声が大きくなっていくような気がして
また怖くなって 抱きしめることも できなかった
結局なにもできなくなり どうしていいかわからず
ボクも 泣き出した
ボクが 泣かせてしまった 殴ってしまったその人は 敵でも 悪者でもなく
いつもそばにいてくれる 大好きな人だった
彼女は ボクの部屋に来なくなった
少しだけ置いてあった 彼女の着替えも取りにくることはなかったし
彼女の部屋に それを届ける勇気も ボクにはなかった
いまさら 感謝をしても その思いは届かず
結局 空しさと自己嫌悪だけが 跳ね返って来た
ボクは リトルの練習に行くのを やめてしまった
ボクは 優しい人になろうと なにかに誓った
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