2014年12月7日日曜日

アツアツに煮込んだ レンコンに 指を突っ込むなよ 絶対に


「何買ったの?」

「ピザまん」

「え 食べたことない」

「食べる?」


歳は一つ下 ちょっとかわいいなと思っていたあの子が 
ボクの持っていた 買ったばかりのピザまんにかじりついた

かじりついたその様が またちょっとかわいいなと思ったけど


生々しく 歯型がついた そのピザまんを 

ボクは それからどこからかじりつけばいいのか わからなくなって


そのピザまんを 遠くに投げた


それがまた 校長先生に当たったとか 怖いおじさんに当たったとか

そんなハプニングでも起きれば まだ救われたと思うが


それがまた生々しく 情けない弧を描き 情けない音を立てて

学校の駐車場に 落ちただけだった



言うまでもないが その子は その日から ボクに話しかけてこなくなった


高校生のときの 思春期ならではの 

ちょうどこんな 冬が始まった頃の 甘酸っぱい 思い出



先日 母校の横を通ったとき  まだそのピザまんが残っているのかな

と 車の窓から 探してみたけど 見つけられなかった



駐車場から ピザまんも  あの子の記憶から ボクのことも


遠い遠い はるか昔に 消えていってしまった



あれから 何度の目の 冬がやって来たのかな なんて思い返してみる




ボクは 決して あの日のことを 後悔しているわけではない



なぜならボクは あの日に

自分の心の中にある 後悔や言い訳 甘えること

悪口 噂話 嫉妬や妬み 我欲に走ること

怒ること 誰かや何かに依存すること 大きな声を出すこと 誰かを疑うこと


それらすべてを 捨てたんだ


孤独になることなんて なにも恐れていないし
今 ここにある 孤独を 楽しんでいるし 
むしろ 孤独になることを選んで ここまで来た


大恋愛や 大失恋こそ すっぱりと切り離せて 小さな恋こそ こびりつく

男は そんな強がりをいいながら  そんなことを忘れたつもりになって

今日もピザまんを 買う

誰かが かじりついてくるこを期待しながら



ああ また冬が やってきた



0 件のコメント:

コメントを投稿